より よく 生きる

よりよく生きるために

より よく・脱搾取

タイトルが珍しくおどろおどろしいものになった。ヴィーガンにしてもよかったのだが、あえてこれにしようと思う。この方が字面からお洒落さが消えそうな気がする。

最初に断っておくのだが、私はヴィーガンではないし、肉を摂取する側の人間である。先日食べたスモークサーモンは美味しかった。なのでヴィーガンになろう!!!というものをかきたいのではなく「ヴィーガンの人は何を訴えているのか」が伝えたいことである。

 

それでは、今回読んだ2冊について、ざっくりとまとめようと思う。 

 完全菜食があなたと地球を救う ヴィーガン

著:垣本 充、大谷 ゆみこ 

(①)

ビーガンという生き方

著:マーク・ホーソーン 

 (②)

1冊目の完全菜食…を紹介するには中田敦彦さんのYouTube大学がとても分かりやすく説明されているので、まずこちらを観てくれると解りやすいと思う。

www.youtube.com

 

ここ数年、ヴィーガンという言葉を聞くようになり、賛成派・反対派の意見が混濁し、デモ活動をしている様子などをみるようになったが、そもそもヴィーガンとはなんぞやという話である。ただただ肉を食べない人であるならば、ベジタリアンとは何が違うというのだろうか。

 

 ヴィーガンとは「肉や魚、卵を食べないだけでなく、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、蜂蜜なども食べない完全菜食者」と訳されるベジタリアンのカテゴライズの1つである。

自身の健康保持だけでなく、環境負荷の少ない、地球にやさしいライフスタイルという考えが浸透してきた。 ①参照

もともとは1847年、マンチェスター聖書教育会員らによって初期キリスト教シンプルライフ への憧憬から「肉や魚は食べず、乳製品や卵の摂取は本人の選択に任せ、穀物、野菜、豆類の植物性食品を中心にした食生活」を行う運動が展開され、世界発のベジタリアン市民団体すなわち英国ベジタリアン協会が発足した。 ①参照

その後、ベジタリアンたちは各々のライフスタイルや思想であったりを広げ、様々に分化していく。そのうちの一つであるヴィーガンという言葉はその中で1944年にできたとされる。

べジタリアンのタイプ

ヴィーガン(完全菜食)…米・小麦などの穀物や、豆、野菜などの植物性食品のみを食べ、畜肉、魚、卵など全ての動物性食品の他、蜂蜜も食べない。

ラクト・ベジタリアン(乳菜食)…植物性食品に加えて牛乳や乳製品(チーズ・ヨーグルト)などを食べる。

ラクト・オボ・ベジタリアン(乳卵菜食)…植物性食品と乳・卵を食べる。

●ペスコ・ベジタリアン(魚乳卵菜食)…植物性食品と乳・卵・魚を食べる。このタイプには魚は食べるが、乳・卵は食べないタイプもいる。

●ポーヨー・ベジタリアン(鶏魚乳卵菜食)…植物性食品と乳・卵・魚・鶏肉を食べる。畜肉は食べない。

①参照

 ちなみにヴィーガンはさらに細分化される。

ヴィーガンのタイプ

●ダイエタリーヴィーガン…植物性食品しか食べないが、衣料品については植物性製品にこだわらない。

●フル―タリアン…植物が収穫後も死滅しないように、実や葉だけを食べ、根などを食べない。

●オリエンタルヴィーガン…植物性食品の中でも、五葷とよばれるニラ・ニンニクなどのネギ科の植物を避ける。

エシカルヴィーガン…食事だけでなく、化粧品や衣類などの生活用品全般で植物性のものを使用し、毛皮やダウン、皮革、ウール、シルクなどの製品を使用しない 

①参照

 ※ご‐くん【五葷】…からくて臭気のある五種の野菜。仏教では、忍辱(にんにく)、野蒜(のびる)、韮(にら)、葱(ねぎ)、辣韮(らっきょう)などの五つをいい、道教では、韮(にら)、辣韮(らっきょう)、忍辱(にんにく)、油菜(あぶらな)、胡荽(コエンドロ)をいう。
ともに、欲情や怒りの心をおこすとしてこれを禁じた。五辛。〔爾雅翼‐釈草五〕

参照:コトバンクより

kotobank.jp

 

一言でベジタリアンヴィーガンというが実はその実態は細分化され、それぞれの考えのもと行動していることがわかる。では彼らの考えは何であるのか。なぜそこまでのことをして、主義主張をするのか。

 

 いくつかのテーマごとにざっくりではあるが紹介したい。

●動物の権利

「動物の権利」の捉え方は二通りある。

第一は、動物を搾取と虐待から守る。ーさらには介入してかれらを解放する―社会運動としての動物の権利論。

第二は人でない動物も人と同様、内なる価値を具えた個の存在として、尊重されながら扱われる権利を持つという思想である。すべての動物は者であって物ではなく、人間から痛みや苦しみを与えられることなく生きる権利を有する。これを否定するのは種差別、つまり人間は人間独自の例外的な感性の数々(言語、自己意識、認知能力、魂など)を具えているので、他の種よりも道徳的に優越する、とみる考えに囚われている。

②参照

違和感をもったことはないだろうか。愛する犬や猫の命が脅かされたとしても、動物の愛護及び管理に関する法律では罰則が非常に軽く、罰則が「2年以下の懲役 または 200万円以下の罰金」。器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役 または 30万円以下の罰金 若しくは 科料」である。あんなにも大切に、家族のように思っているペットを傷つける人間がいたのであれば、器物損壊罪などふざけているのかと言いたくなる。しかし現実はこうなのだ。

299navi.com

逆に普段食べている畜肉はどうであろうか。かわいそうとすら思わずに、頂いていないだろうか?この差は何であるのか。全ての生物は人もペットも畜肉も同じ命であるが、その扱いはこんなにも違う。随分前に読んだビートたけしさんのエッセイ本を思い出した。つむがれ方は覚えていないが、印象に残ったのは、人間なんてものは例え人口1億人が苦しんでいたとしても、自分の周りの人にその悲劇が舞い降りなければ関係のないことなのである、といったこと。誰しも自分に都合のいい面だけをみようとするところがある。それ以外を見ていたらきりがなく、生きていくことができないからである。

 

では実際、畜肉につかわれる動物たちはどのような扱いを受けているのだろうか。あくまでも悪いものの例ではあるが、私たちが口にしている畜肉はそうではないとは言い切れない。ならば私たちは、それを知らなければならない。もしかすると、屠殺されるその日1日だけが苦しみの日と思っていないだろうか。それであれば、以下は読まない方がいいかもしれない。また以下の引用は、海外(特に著者のアメリカ)での悪い一例である。日本で同様の扱いがあるのかは私には解らない。

 

 雌鶏…薄暗い鶏舎では金網の檻が数段に重なり、長い列をなしている。この「連結」ケージの1つ1つには6~8羽の瘦せ衰えた雌鶏がいる。大抵の場合、くちばしの先を切られてあたりをつつくこともできない。この切断は摂食にも大変な困難をもたらす。鳥たちは檻に狭く、きつく押し込まれているせいで羽を広げることすらできない。また、檻の下にある大きな肥溜めは鶏の排泄物を回収し、糞の悪臭は鶏舎に満たされている。1羽の雌鶏はわずかな金網の空間だけで寝起きして卵を産む。週に最低6個の卵を人間の消費用に産み落とし、およそ2年が経って体がボロボロになった末、檻から引き出されて「淘汰鶏」の屠殺場に送られるか、二酸化炭素でガス殺される。

 

肉用鶏…世界で肉用に買われる陸生動物のうち、桁外れに需要が大きいのは鶏である。肉用に飼われ殺される鶏、通称「ブロイラー」は、巨大な孵化場で殖やされた後、巨大な鶏舎で「肥育」される。多くの鶏は体が急成長する一方で骨の構造がそれについていかず、激増する体重を支えられない。結果、大半のブロイラー鶏は跛行性の脚異常を負う。七面鳥や鴨も同様である。

 

豚…工場式畜産で飼われる豚は、遺伝子の操作を重ねられた結果、恐ろしく病気に脆弱である。パック詰めにされる予定の豚は巨大畜舎に拘留される。数千頭の仲間とともにスノコ床の上にたたずみ、糞はスノコの隙間から落ちて地下の大きな肥溜めに集まり、有毒の硫化水素を発生させる。工場式畜産の鶏や牛と同じく、豚たちには各種の抗生物質が与えられ、それが病気を防ぎ、体重を増やし、消費者が好むとされる紅がかった色を肉に加える。そして生後3~6か月で彼らは殺される。(豚の自然な寿命は約15年)母豚は長く生かされ、生後7か月で人工的に妊娠させられて以降、年2度の割合で子を産まされる。終わりのない妊娠・出産・授乳のサイクルに置かれる雌豚たちは、まず動きを禁じる狭い妊娠豚用檻に隔離され、出産間近になると同程度の拘束的な分娩房に移される。ただ前に進むこともできず、大抵は自らの子の姿を見ることすらできず、子豚たちは生後20日ほどで母から引き離され、麻酔なしで去勢され尾を切られる。母親もまた「廃用」と判断された時点で屠殺される。

 

牛…一頭一頭を繋ぎ檻に留める。牛は体の向きを変えることも、気持ちよく寝そべることもできない。アメリカの酪農業界は選抜育種、薬剤投与、さらに遺伝子操作を加えたモンサント社の牛成長ホルモン、通称rBGH(日本では使用が禁止されている)によって、牛を乳生産の巨大機械にかえてきた。結果、牛たちの乳腺は著しく膨張し、しばしば地面に触れるほどまで垂れ下がり、痛みで時には死につながる細菌感染、乳房炎を起こす。また、牛が泌乳を続けるには子を産まなければならないため、起業は牛に人口受精を施し、9か月で子が生まれたら親子を引き離して、母親の乳(本来なら子を養う乳)を人間の消費用に販売する。4~5年の間に子を産みながら年間約1万キログラムの乳を産出したあげく、体が「廃用」となれば屠殺場へおくられる。かたや雄の子牛は檻に数か月の間繋がれ、筋肉を使えない状態で母乳に代わる調合乳と抗生物質を強制給餌された末、幼いうちに殺されて子牛肉となるか、肥えさせられた末、殺されて牛肉となる。雌の子牛は母と同じ運命をたどる。

無論食肉業界の牛たちも同じ母子隔離に遭い、肉用に育てられる子牛は鎮痛剤も麻酔もなしに去勢され、焼き印をおされ、他の諸々の身体損傷の責め苦を味わう。除角は、牛の角組織は軟膏型の腐蝕薬によって焼き落されるか、えぐり取られるかする。業界は牛の角をなくせば作業員にも他の牛にも安全だというが、角には体温調節を助けるという重要な機能がある。その後、子牛たちは込み合う肥育場へ送られ、出荷体重に達するよう抗生物質と成長ホルモンを盛った不自然な餌を与えらえる。最期はほとんど水も餌もなしに何キロも先の屠殺場へ送られる。しかし解体ラインの流れは速く、停止もしないので、おびえる牛の一部は意識を保ったまま通過する。かれらは喉を切られてうなりのたうち、足かせをはめられて頭上のレールに吊り下げられる。牛たちの4分の1がこのような形で、自分の身に何が起こっているかを完全に分かったまま殺されてゆく。

 

魚介類…従来、魚のほとんどは自然界で捕らえられ、トロール船の網に囲われて水揚げ後に窒息死するか、全長100キロメートルにもなる延縄から何千本とぶらさがる餌付きの鈎針に突き刺されるかの運命をたどった。延縄漁は相手を選ばないので、水産会社が狙う魚種よりもはるかに多くの生物(イルカ、醒め、ウミガメなど)を捉えること[混獲]で悪名高い。企業の捕獲した生きものの実に半数は海に廃棄される。

また新しい産業、養殖業が急成長している。養殖業は今や、世界の魚の半数を供給するが、魚たちは海洋もしくは淡水の養殖区間に隙間なく押し込まれる。病気が蔓延しやすいため、抗生物質を盛られつつ、牛や羊や豚の血と骨、毎年何十億と殺される鶏たちの羽根、それに魚粉と魚油からなるペレット状の安い餌料を与えられる。養殖場での繁殖は多くが、絞り出しと呼ばれる魚の腹部に圧力を加えて卵を絞り出すという手法を用いて行われる。

②参照

 続いてファッション業界で消費される動物たちをみてみる。

革…革の大半は牛由来だが、ワニ、バッファロー、象、山羊、馬、豚、カンガルー、ダチョウ、鮫、エイ、羊、蛇の皮膚も使われる。革は食肉産業の副産物ではなく、大変な儲けになる主産物の1つである。それどころか動物の皮膚の売り上げによって肉の価格は安く保たれているので、革は実のところ工場式畜産業を助けていると論じる批評家もいる。ただし搾取される体を変えられるのは肉用の牛だけではない。皮革業界は酪農出身の牛も利用する。

 

毛皮…人類は動物を食べだした頃から毛皮をまとっていた。かつては生存に必要とされたであろう毛皮も、植物や合成の繊維が発達すると廃れた。今日の毛皮は贅沢と残酷さの象徴であり、この服飾のために無数の動物が殺されている。毛皮用に使われるミンク、チンチラ、あらいぐま、狐、ウサギ、黒貂のうち約85%は毛皮用動物養鶏場で飼育・屠殺され、残りは自然界で罠猟の犠牲となる。罠猟でも養殖でも、動物を殺す際には毛皮が傷つかないよう、首折り、ガス殺、水没殺、肛門電殺、窒息殺、毒物注射などの手が使われる。

 

羊毛…オーストラリアの羊毛産業は世界最大だが、そこで実践される特に浅ましい慣行はミュールジングといって、ほとんどが麻酔なしで子羊の臀部の両側から三日月型に皮膚を切り取り、毛の覆いや皮膚のたるみ、糞尿の汚れの無い傷口をつくる手法である。またアメリカではおよそ9割の子羊が、羊毛の中に糞が溜まるのを防ぐ目的から尾を切られる。この他、養殖や飼育の場所に関係なく、羊は羊毛産業に苦しめられる。毛刈りは気候の暖かくなる春に行われることになっているが、大きな群れを抱える牧場主は早すぎる時期に作業を始め、寒さをしのぐのに必要な覆いを羊から剝ぎ取ってしまう。かれらは毛のないまま、外気にさらされる。オーストラリアでは毎年、毛刈りが早すぎて寒気にさらされ息絶える羊が100万頭前後を数える。羊毛用の羊は毛が薄れて儲けにならないとみられたら殺される。3歳から4歳(自然な寿命は20年)で羊たちは屠殺場へと運ばれる。

 

象牙象牙取引は野生動物やその身体片を売買する巨大産業の一角をなし、アフリカ象の顔から叩き切った牙を地球の彼方へ密輸する。途方もない残忍さを伴うのに加え、アフリカの最貧困地帯で行われるこの違法取引はそこから生まれる莫大な資金によって、組織化された犯罪シンジケートやテロリスト、腐敗した政治家をうるおす。

②参照

この他、実験に使われる動物たちや娯楽に使われる動物たちがある。知りたくもなかった背景を知ってしまったと思うかもしれない。私はそうであった。今まで食べてきた肉にはきっと海外のファクトリーファーム(工場式畜産場)で育てられた肉もあるはずである。私は過去、摂食障害の中で過食嘔吐を繰り返していたことがある。なんということをしてしまったのだと、胸が痛かった。

また私は昨年まで鞄屋で働いていた。そこで働いているときも途中から同様の違和感があった。にも関わらず、私は見ないふりをしてきたのだ。自分の収入のためには、合成皮革ではなく、本革の革を褒め奉り、消費者の購買意欲を促さなければならない。なんと私は自分主体な人間だろうか。

消費の上でも、販売の上でも私はこういった行為への一端を担ってしまっていたのだ。

 

次に人から人への抑圧について。

残念ながら、従来の脱搾取派(ビーガン)は人でない動物の権利を訴えるのに一生懸命で、解決の鍵が種差別と他の抑圧の共通基盤にあることを把握できていない。脱搾取派になることが思いやりの実践であるなら、本当の脱搾取の倫理は思いやりをすべての存在に広げなくてはならない。他者からの抑圧から利益を得ることを望まないという理由で脱搾取派になったのなら、何者の抑圧にも加担するまいと考えてこそ理にかなう。

②参照

種差別とは人種差別、性差別、同性愛差別、年齢差別、階級差別、体型差別、障がい者差別、宗教差別などがある。先に述べた「動物の権利」は当然、畜肉やファッションで消費される動物たちだけでなく、人に対しても同様に存在すべきなのである。搾取も虐待もされず解放されるべきであり、どんないかなる理由でも尊重されるべきなのである。

動物だからと上にあがめるのでも下にさげるのでもなく、全ての命がフラットな土台に置かれているということが大事だと私は思う。

 

ここまでがよく耳にするヴィーガンの主張なのではないだろうか。消費される動物たちがかわいそう!だから食べない/使わないという主張である。しかし実際のヴィーガン達の考えはそこだけではないのだ。(もちろん、これだけの人もいるだろうが)

 

●飢餓

日本人の我々には少し遠い話のように聞こえるかもしれないが、今地球上で飢餓で苦しんでいる人がどれくらいいるかご存じだろうか。

2020年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書(原題:2020 The State of Food Security and Nutrition in the World)では、飢えに苦しむ人の数は2019年に約6億9,000万人にのぼり、2018年から1,000万人、5年間で6,000万人近く増加したと推定しています。高い価格により食料を手に入れられないことは、何十億もの人々が栄養を十分に摂取し健康でいられないことも意味します。

飢餓人口はアジアで最も多いものの、最も急速に拡大しているのはアフリカです。報告書が指摘しているように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、2020年末までに1億3千万人以上の人々が慢性的な飢餓に陥るおそれがあります(パンデミックにより急性の飢餓が急増した場合、この数はさらに増える可能性があります)。

www.unicef.or.jp

2019年の総人口は77億1,500万人、そのうちユニセフの計算では約6億9,000万人が飢えて苦しんでいる。少なくとも11人に1人は飢えで苦しんでいる計算になる。ヴィーガンは飢餓問題にも対応できるという。

国連食糧農業機関(FAO)などの統計によれば、1000㎡の土地から得ることのできるたんぱく質の量は、大豆は39.9㎏、牛肉2.2㎏、大豆は牛肉の実に20倍近くの効率よくたんぱく質を得ることができます。

このようなわけで、肉食1人分の食事は菜食20人分に匹敵すると言われます。飼料を穀物にかえて換算すれば、肉食1人分の食事は菜食10人分に匹敵します。

①参照

①では年間生産される穀物量は約26億tとされている。これがもし、世界中の77億人に平等わけられたとすれば、一人当たり約335㎏以上は食べることができるという計算である。

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_usda/attach/pdf/index-2.pdf

(米国農務省穀物等需給報告 参照) 

しかしこの穀物は貧しい人達に届く前に畜産業で消費されているのが現状なのである。

世界の水、穀物、耕作可能地の大半は動物の飼育と屠殺のために用いられるのだから、これらの資源が植物のみで人類を養うことに向けられれば、地球上の誰もが飢餓に困らなくなるだろう。しかし食料正義に携わる活動家の多くはおそらく、現実はもっと複雑だと言うに違いない。かれらは例えば、現在でもおよそ120億人の人口を養えるだけの食料は生産されているが、9億人以上の人々は日々必要な栄養を摂取できていないと指摘するだろう。

問題の一因は世界経済にある。今日貧困に陥って食料を変えない人々は、脱搾取の楽園にあってもなお食べ物を買う力をもてそうにない。

もう一つの問題は食料配分で、多くの人はただ単純に、必要なものを得られない状況にある。政府という要因が一つ、それに金欲と腐敗が、誰が何を得るかに影響する。さらに食のシステムは利益を最大化しり形にできていて、一握りの企業が食料供給の大部分を支配する。

②参照

ただし、このようにどれだけ食料が配分される量ができたとしても、それが貧しい人々に届かなければ意味がない。飢餓に関しては、そこから改善していく必要があると私は思う。

 

●環境

現在、人間活動の影響により地球全体で多くの種が絶滅の危機に瀕している、というのはよく耳にする話であると思う。推定100万種が絶滅の危機に瀕していることが示唆されている。またこの絶滅のスピードは年々上がってきているため、早急に対処しなければならない。

参考:IPBES 2020年3月発行

www.iges.or.jp地球温暖化 と聞いて一番に浮かぶものといえば、CO2やメタンなどの温室効果ガスではないだろうか。地球の平均気温の上昇を産業革命前のレベルから2℃未満に抑えようと方々で頑張っているのだが、道のりは険しい。畜産業ではどうだろうか。

 食生活に関わる温室効果ガスの排出量は、肉類の消費関連が最多だとされる。

豚肉の場合、小売店で並んでいる骨などを取り除いた精肉1キロ当たりの排出量はCO2換算で約7.8キロとされる。これは、えさの生産や飼育、食肉処理などの過程の排出量を合算したものだ。その後、小売店で売られるまでに、さらに約3.3キロ排出されるという。7.8キロの内訳では、えさのトウモロコシや小麦の生産・輸送が30%、ふん尿処理が50%を占めている。

 

国連食糧農業機関(FAO)の2013年報告によると、世界の温室効果ガスの総排出量のうち、実は畜産業だけで14%に上るという。特に多く排出するのが牛で、畜産業のうち65%を占める。主な要因は、牛がする「ゲップ」。国内で育てられた黒毛和牛の場合、頭や内臓を取り除いた骨付きの枝肉1キロ当たりの排出量はCO2換算で23.1キロ。うち、ゲップなどで出るメタンが半分余りを占めた。
牛は牧草などを胃から口に戻しながら食べる「反すう」の際、メタンを発生させる。農研機構ではメタンの抑制や育成期間短縮につながるえさなども研究しているが、温室効果ガス排出削減の効果の大きさは、まだ分からないという。

www.tokyo-np.co.jp

2006年報告書「家畜の落とす長い影-環境をめぐる課題と選択肢」の中で、国連は動物性食品の生産がGHG(温室効果ガス)排出の18%(全世界の自動車、船舶、飛行機、電車から排出される二酸化炭素の総量以上)を占めると述べ、以来、食肉・酪農産業と地球温暖化や気候変動の結びつきを指摘することは、雑食生活を批判する主要な切り口となった。

研究によれば、畜産由来のGHG排出はメタンと亜酸化窒素が中心で、前者の温室効果二酸化炭素の86倍、後者のそれは268倍にもなる。

②参照 

しかしこれには反対意見も多くみられる。2006年の情報であれば随分と古いし、またそうであるのであれば、農業側も示すべきである。残念ながら比較できる資料を見つけることができなかった。

ちなみに、2007年にはノーベル平和賞を受賞したパチャウリ博士は「肉の消費を減らせば、地球温室効果ガスを効果的に減らせる」と主張している。その言葉を受けて2009年、ポールマッカートニーはミートフリーマンデーいう、週に1日だけ肉を食べない日をもうけ、それによって地球温暖化を防止しようとしている。

 

この他、水問題(旱魃や家畜排せつ物による水質汚染)や、畜産業のために自然が伐採され野生動物が追いやられるという問題がある。

地球上の陸地の約1/3を占める熱帯雨林は、二酸化炭素を吸収して酸素を放出する光合成をおこなっています。この巨大な光合成は、温室効果ガスの約65%を占める二酸化炭素の増加を阻止する重要な役割を果たしてきました。ところが、1960年以降、中南米では熱帯林を放牧地にするために開墾しています。ブラジルのアマゾン流域では約70%、コスタリカでは約80%の熱帯雨林が放牧地などの開墾のために消滅しています。 

①参照

畜産業により大量に排出されたとされるCO2を今までは熱帯林が吸収してなんとかなっていたが、現在では畜産業のためにその熱帯林が消滅している。少し考えれば、この後どうなってしまうのかが解るような問題ではあるのだが、今も木々は消滅し続けている。

ヴィーガンたちは畜産業が縮小していけば、これらの環境問題も比例して縮小していくと考えているのである。単純計算ではあるが畜産業をボイコットをすることにより、消費量が減れば、生産する量も少なくなっていくということである。

 

●健康

2015年にWHO国際ガン研究機関(IARC)は「人に対する発ガン性がある」もののグループに加工肉をあげている。このグループに他にあるのは、アスベスト放射線、タバコ、アルコールなどがある。次に、「おそらく発ガン性がある」もののグループには畜肉があげられている。このグループに他にあるのは紫外線などがある。肉はガンのリスクを上げてしまう食べ物といえるだろう。逆に菜食であれば、生活習慣病心筋梗塞脳卒中、高血圧症、糖尿病、骨粗しょう症認知症、そしてガンなどを防止すると考えられている。

 

こういった様々な要因から、ヴィーガンたちは畜肉を摂取する生活をやめ、菜食主義になろう!と声を上げているというわけである。しかしながら私はあくまで中立な立場であるので、逆の意見も考えてみようと思う。特に②の資料はそういった視点からもみられていてとてもよかった。

 

●疑問その1 栄養は?

たんぱく質は大豆やブロッコリーなどから食物性たんぱく質を摂取することができるが、肉や魚を摂取しないことで得られない栄養がでるのではないか?という疑問がある。その最も有名なものがビタミンB12だろう。よくヴィーガン反対派の方々がこれを議題にあげている。

ビタミン B12 は、奇数鎖脂肪酸アミノ酸(バリン、イソロイシン、トレオニン)の代謝に関与するアデノシル B12 依存性メチルマロニル CoA ムターゼと 5─ メチルテトラヒドロ葉酸とホモシステインから、メチオニンの生合成に関与するメチルビタミン B12 依存性メチオニン合成酵素補酵素として機能する。

ビタミン B12 の欠乏により、巨赤芽球性貧血、脊髄及び脳の白質障害、末梢神経障害が起こる。 消化過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる他の食品によっても影響を受ける。正常な胃の機能を有した健康な成人において、食品中のビタミン B12 の吸収率はおよそ 50% とされている 。食事当たり2 µg 程度のビタミン B12 で内因子を介した吸収機構が飽和するため、それ以上ビタミン B12 を摂取しても生理的には吸収されない。よって、ビタミン B12 を豊富に含む食品を多量に摂取した場合、吸収率は顕著に減少する。また、胆汁中には多量のビタミン B12 化合物が排泄されるが(平均排泄量 2.5 µg/日)、約 45% は内因子と結合できない未同定のビタミン B12 類縁化合物である 52)。胆汁中に排泄される真のビタミン B12 の半数は腸肝循環により再吸収され、残りは糞便へ排泄される。
(中略) 正常な腸管吸収能力を有する健康な成人における必要量が得られ、1.0 µg/日となる。この値に、吸収率(50%)を考慮し、推定平均必要量を 2.0 µg/日と算定した。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2を乗じ、2.4 µg/日とした。

www.ejim.ncgg.go.jp

①での回答…ビタミンB12の推奨量(RDA)は成人女性で2.4 µgで、出生時には千倍近く貯蔵している。必要量が微量であること、65~75%が再吸収されることから欠乏症は稀である。ただし、長期間にわたり植物性食品しか摂取しないヴィーガンの母親から生まれた子供にはビタミンB12サプリメント酵母など)を与えることを推奨している。

②での回答…ビタミンB12サプリメントを摂ることを推奨。またノリはレバー以上のビタミンB12を含有している、との記載。

 どちらも最終的にはサプリメントで摂取しようということであった。これに関しては、サプリメントが大丈夫だという人はそちらを摂ればいいと思うし、私はサプリメントが苦手なため(何故か腹痛がおこる)、やはり食物から摂るという方法が一番お手軽なのではないだろうかと思う。

 

●疑問その2 作物の収穫も屠殺同様に生物を殺すのでは?

こちらもよく議論されている議題だと思う。農薬の関係や、作物収穫の関係で虫やネズミなどの動物を殺してしまうことは、確実にありうる話なのである。全ての動物を…というのであれば、それらの動物も保護されてしかるできなのではないだろうか。

②の回答…残念なことに工業化した作物収穫の過程では現にいくらかの動物が殺される。しかしだれだけ殺されるかは分かっていない。年間、世界で700億もの陸生動物が、商業漁業では3兆もの魚介類を殺している。世界の作物の大半は人間ではなく畜産利用される動物の食料となるのだから、農地の動物が死ぬのを本当に気にするのなら、やはり脱搾取派になるのがよい、とのこと。

 

確かに農作による被害は0ではないが、0に近づけるためには、畜産の縮小→餌が減る→農作も自然と縮小という図式が必要だということ。

 

●疑問3 農産業はクリーンであると言い切れるのか。

これまで畜産業に対して、いかにBLACK企業であるかと連ねてきたわけではあるが、では、農産業に関してはどうであろうか。たしかに日本では労働法などがそれなりにしているため児童の労働などはないかもしれない。しかし海外はどうだろうか。今読んでいるカカオの本によると、そうは言えないのが現状ではないのだろうか。また綿花に関して調べた時も、児童などが農薬にまみれて綿積みをさせられているという映像を見たことがある。似た状況が農産業にもいえるのではないだろうか。

②の回答…農場労働者について…果物、野菜、穀類をすべて自家栽培するのでもなければ、世界の農場で汗水を垂らす人々に多大な借りをつくることになる。今日の私たちは食べものの大半を輸入する。食物の出所がどこであれ、その背景には一般に過酷な労働条件のもと果物や野菜を手作業で植え、育て、摘み取り、パックに詰める男女や子供の働きがある。かれらは農場で毒性の化学物質や雇用主のハラスメント、それに大抵はひとい気温にさらされながら、何とか生きていこうと必死に働く。すでに世界でも最悪の苦境に置かれている農場の移住労働者や季節労働者たちは、過酷な生活条件、低賃金、劣悪な労働に苛まれる。辱めに加えてケガも負い、法的権利も不充分とあって農場労働者の仕事は世界で最も危険な業種の一つとなっている。アメリカの農業労働者の平均寿命がわずか49歳なのも驚くにはあたらない。

特に油断ならない危険は、女性労働者を絶えず脅かす性的嫌がらせと身体暴力だろう。孤立していて、権利の知識がなく、法的地位を持たない未登録移民の女性は性犯罪者から「理想的な獲物」とみなされる。

児童の労働について…アメリカの労働法に抜け穴があるせいで、農場はあらゆる年齢層の子供たちを両親とともに働かせることができる。しかも親が許せば農場での児童労働は12歳から可能になるが、実際はもっと幼い年齢から働かされていると考えられる。同年齢の子供たちが学校へ通うかたわら、かれらは週に6日から7日、1日に10から12時間の労働に従事する。ガーナとコートジボワールの農園は世界のカカオ豆生産の6割を担うが、最悪の児童労働を用いることで悪名高い。若ければ5歳で子供たちは人身売買され、隣接する国々のカカオ農園で、なたを使う豆果の収穫、チェーンソーを使う土地の開拓、作物への農薬散布といった危険な業務を課せられる。夜は拘束され、逃亡を試みれば厳しい体罰を受ける。完全に姿を消した子供たちもいる。

このように農産業だからクリーンというわけではなく、人が人を人と思わないBLACK労働が実際に今も行われている。農作物ならば、全てクリアというわけではないことを念頭に置いてほしいと私は思う。

 

●疑問4 ヴィーガン食品は値が張るのではないか。またそういった食品が身近に販売されている場所というのは限られるのではないか。

ヴィーガンたちが買える環境にいるからといって、全ての人がそうではない。私も最近、ソイミートなどの代替品を使用しているが、やはり普通にひき肉やレトルトカレーを購入するよりも高い。また、使用しているスーパーではそういったことに配慮された食品というのはまだまだ少ない。なのでわざわざAmazonで購入しているのだが、商品を運搬するのには確実に温室効果ガスなどが発生している。やはり身近なところで販売されていないとなると、難しいだろう。ひたすら野菜だけをシャクシャクしているのが平気という人であれば問題はないと思うが。

②の回答…この点は脱搾取派のあいだでも意見が割れる。野菜、果物、豆類、ナッツ類からなる食事は理論的には肉・乳・卵製品を食べるよりも安く済むはずだが、実際には脱搾取の中でも自然食材だけを食べる人は少ない。「肉もどき」を食べることが多い。これは元の動物性食品よりもだいぶ高い。

しかしよく見落とされる大きな点はヴィーガン食品が地域によっては手に入らない問題である。自分が農家市場で農作物を買うからといって、誰もがそうできると考えるのは禁物である。それどころか、誰もがそこでの買い物を望んでいると考えるのもいけない。ある人が構築する「理想」体型に合わないからといって、その人を不摂生な人間と思ってはいけない。

まとめると、未加工の食物のみをどっさり買うなら、肉・乳・卵製品よりも安くて済むはずだが、できるとしても現にそうする脱搾取派はほとんどいない。ただそれとともに、菜食は医療費も抑えられることを忘れてはいけない。

 今はいろんな企業がベジミートといった代替品を開発している最中だと思うので、そちらに期待したいと思う。

 

ここまでヴィーガンについて引用を交えて紹介してきたが、およそ文字数が13900を超えた。なかなかな重量になってしまった。ヴィーガンとは、ヴィーガン行動理念は、ヴィーガンの反対からの意見は…と見てきたが、ヴィーガンとは奥深いものなのだと思う。

私の考えとしては…私も以前エシカルのことを書いたわけで、そういったことを配慮したいと思う人間である。動物の権利や地球温暖化の話を聞いたあとで焼き肉食べ放題にいきたいとはやはり思わない。ただやはり100%を目指すのは苦労がある。それならばいきなり0にするのではなく、ポールマッカートニーがしたように例えば週に1日から。年間30㎏摂取していたものを10㎏にするだとか、そういったことから始めてみればいいのではないかと思う。 実はこの2冊を読む1か月ほど前から No meat dayをもうけている。毎日食べないというわけではなく、決めた日数そういった食品を摂取しないようにしている。月経周期に合わせて行っているのだが、逆にファスティング中はヨーグルト生活であるので、どうしても乳製品は摂取することになる。また、サプリメントが苦手なため、ビタミンB12を摂取できる食品は、私のわがままであるのだが、やはり摂取したいと思う。完全にやめたのは加工肉の摂取でソーセージやハムなどは摂取しないことに決めた。このまま他の食材にも広がっていくのかもしれないし、逆にもとに戻るかもしれない。

脱搾取の倫理は全ての搾取と不正を許さないものであるべきだと私は思う。食や動物をめぐる関心だけでは足りない。

 この境地までいくにはまだまだ時間がかかりそうである。全ての食品になりがしかの うす暗いものが存在すると思うからである。だからこそ、エシカルの話と重複してしまうが、まずは背景をしる努力が必要だと思う。何もすべてのものじゃなくていい。自分が好きなもの、普段よく使用するもの、そういった些細なことから興味を持ってほしいのだ。もちろんそれは義務ではないし、聞きたくないことを聞けと言うつもりはない。ただ、なんとなく最近流行りだからヴィーガンをやってみよう、なんとなく主張がうざいからヴィーガンを否定しようというのであれば、一度書籍に当たってみるのもいいのではないだろうか。

ちなみにヴィーガンに関してはこれで終わりではなく、次の記事ではソイミートについて書きたいと思っている。①の図書は代替品に関して多く記載されていたので、それを引用しつつ、実際に食べてみた感想などを述べれたらと思っている。またカカオについても現在学習中である。

 

15000字に到着しそうであるので、この記事はここまでにしようと思う。