より よく 生きる

よりよく生きるために

本・滅びの前のシャングリラ

今回は滅びの前のシャングリラについて盛大にネタバレ交えて綴ろうと思う。

滅びの前のシャングリラ

著者:凪良ゆう

 

一ヵ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中。学校でいじめを受ける友樹、ヒトを殺したヤクザの信士など「人生をうまく生きられなかった」四人が最期の時までをどう過ごすのか。

 

凪良さんの作品は以前、「流浪の月」を読んだことがある。「流浪の月」は過去に自分を誘拐した男性との物語、今回の作品は終末物語。どちらも一見有り得ないが、どこか有り得てしまいそうな設定の物語だった。もちろんそれは無理だろうとつっこみたくなるところはある。だが物語の雰囲気はどこか いい意味で漫画臭い。ただそれは私が凪良さんがBL作家だったという視点でみているからの偏見かもしれない。どちらにせよ凪良さんの作品は読み始めると最後まで読まないと気が済まないという印象である。

 

「滅びの前のシャングリラ」は先にも述べたが、小惑星が地球にいついつに衝突すると ある意味 死刑宣告をされ それまでの1ヵ月を描く物語である。日が経つにすれ、あちらこちらで暴動がおこり、窃盗、暴力、殺人と人々は荒廃していく。国としての機能は全く機能されなくなり、道路には事故車や遺体がそのまま放置されている。そんな中でも最後の瞬間までどう生きるか、本当に衝突するかもわからない小惑星と、2割は生存するかもしれないという本当か嘘かもわからない首相の言葉。物語が進むにつれて、何もかもが 明日、いや15分先ですらどうなるか解らない世界でどうやって生きていくのか。

 

やはり思い出してしまうのは新型コロナウィルスの存在だった。何もかもをそれと繋げてしまうのは正直本意ではない。ただトイレットペーパーやマスクが買い占められて市場からなくなった姿は、人間の一面を垣間見たように思えた。人間はそういったときにあまり理性的ではいられないし、理性的でいればいるほど不利になってしまうことが多いのだろう。私は当時実家暮らしであってそういったものに特に困ることはなかった。マスクも布マスクを自分で制作した記憶がある。私はたまたま運がよく、そういった自分の一面に触れずに済んだにすぎない。

私はできた人間ではないので、いの一番に本性を現すだろう。誰かのために何かを尽くすということができるような人間ではないと思う。もちろん進んで暴力をふるう人間でもないと思っている。もし1ヶ月後に世界が終わるなら何をしたいだろう。最低限の食事とライフラインが整ってさえいれば、あとは室内で静かに読書なりをして過ごしたい。誰かとでもいいし、一人でもいい。SNSで誰かと繋がれる状態であればなおいいが、きっとそううまくはいかないだろう。1か月分の食料を確保するためには、水を確保するためには、やはり何かの犠牲を払うのかもしれない。そんなとき私は理性的ではいられないだろう。

 

最近よく、プレッパーという言葉を耳にするようになった。こんなご時世だから…と納得してしまう自分が悲しい。プレッパー(Prepper)とは、自然災害や経済恐慌などに対処するため、生存術や物資の備蓄、避難訓練などに日常的に取り組んでいる人々のことをいう。公的支援を当てにせず、自力で生き延びることを信条としている。「Prepare(準備する、備える)」に由来し、即ち「備える人」を意味する。

ja.wikipedia.org

要は「世界の終末」に備える人々のことをプレッパーと呼ぶわけだが、彼らは作中のときにどうやって過ごしのだろうか、と何度も頭をよぎった。この物語はあくまでフィクションであるのだが、世界の終末というのはあながちフィクションだからと笑っていられる存在ではないと思っている。伝染病に地球温暖化による自然災害、そして紛争。日本でもテロが日常化する日がこないとはいいきれない。オリンピック以降の日本は、本当に平和だろうかと心配になることもある。

備えるべきものというのは食料・水・どこに住むのかという場所・医療品・日用品・衣類であろうか。衣食住である。あとは余力があれば通信手段があるとなお良いが…今実際になくなって一番困るのは通信手段であろう。

 

私が今、生きる上で大事にしていることは「よりよく生きる」ということであって、そのためにシンプルでいたいと願い、ミニマリストを目標としている。ミニマリストとプレッパーは正反対の存在のようにも見れる。両極端であり、0か100かの存在のよう。

ただ、ミニマリストがこの日本でここまで広まったのは数々の震災の存在が大きい。日本人は大きな家具は凶器になり、多くものがあればそれだけ、もしもの時に困ることを知っているのだ。そんな日本であるので、そういった防災意識というのは備わっているだろうと思う。何にせよ。ミニマリストでも防災鞄をもっている人は大勢いるだろう。

 

もしもというときに自立していかに動けるか。現金が意味をなさない世界かもしれない。そこでどうやって生き延びるのか。もしくは死んでいくのか。私は適度に備え、平和的に死ねたら本望である。