より よく 生きる

よりよく生きるために

本・京都なぞくき四季報

京都。物語の舞台として、これほどまで多く描かれた場所もないのではないだろうか というくらい数多くの小説が存在する。魔境 京都。そこには長い歴史と謎が犇いていて、現実とフィクションとの境界が曖昧になる世界。

奈良県民である私にとって、京都はちょっとお出かけするのにちょうどいいスポットである。電車でいけて、日帰りが可能な場所で、何度行っても飽きない。先日、お花見遠足にお邪魔したが、それももう何度目の京都だろうか。

そんな京都が思い入れのある場所になったのは、やはり森見登美彦氏の影響が大きい。それまで別段読書に興味のあるわけではなかった私が読書の面白さを知ったのは「夜は短し歩けよ乙女」がきっかけといっても過言ではない。もちろん他の図書もあるが、疾走感であったり、いっきに読みたい!と思わされるのは初めてだったように記憶している。そして京都という舞台は、言ってしまえば自分の知っているフィールド。鴨川デルタであったり、糺の森あたりであったり、自分に身近な(…というほどでなくても知っている)場所という縁が嬉しかったのだ。

もともとどこか舞台がはっきりした物語が好きな私であるが、そのなかでもやはり京都といわれると手が伸びてしまうものである。

 

今回は久々に読了した小説2冊についてネタバレ交えて綴っていこうと思う。

京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ

著:円居 挽

京都大学の散歩サークル「加茂川乱歩」の遠近倫人の周りには、つねに謎が寄ってくる。同じサークルの謎解きが大好きな理系女子・青河幸の気を惹くため、奮闘するも、目の前の謎は手強いものばかり。(Amazonより引用)

時間や場所を問わず、京大構内で営業を始める「三号館」は、謎を持つ人しかたどりつけないという不思議なバー。妖艶な女マスターは、どんな悩みも謎もすっきり解決してくれるという。

四つ葉のクローバータクシー、鴨川の川床、京都水族館祇園祭…街歩きサークルの遠近倫人は、身近で起こった不思議な出来事の謎を「三号館」に持ち込んでみるが…。季節感溢れる古都で起こる不思議と恋。学生たちのほっこり京都ミステリー。(裏表紙より引用)

京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道

街歩きサークルの遠近倫人は、幻の古書をさがすため、古本市でバイトを始めるが、不可解な万引き騒動に巻き込まれてしまう。

そんな中、恋焦がれる謎好き女子・青河幸の態度が急によそよそしくなり…。

賀茂神社鉄道博物館時代祭…神出鬼没な女マスターのヒントを頼りに、倫人はこじれた恋と謎に結論を出すことができるのか?青春の輝きと謎が夜空に舞う、京都ご当地ミステリー、第二弾。(裏表紙より引用)

 

京都なぞとき四季報 の1.2巻を今回続けて読んだ。どちらも京都ならではの魔境的雰囲気からの不思議というよりは、誰かしらの悪意・善意により故意に作られた謎を解明していく…という物語。全ての事象にはそれにまつわる原因が存在し、ファンタジーのように狸や狐に化かされた…!というオチでは当然ない。とはいえ、存在から徹頭徹尾謎な存在である蒼馬美希という不思議もあるのだが、それは追々謎が解かれるのか、それともこのまま謎で終わるのか。一応1巻でそれとなく描かれているのだが、彼女の神出鬼没なところは情報力というだけでは解決しないし、当然ご都合主義というわけではないだろうと思っている。何より、主人公のために何故そこまでするのか(謎を求めているからとはいえ)についても、私は読み取れなかった。1巻のおわりも、あれは?これは?と回収されていないお話が多いのでできれば続けて読んだ方がいい。

2巻になると急に森見さんを意識したような話題になるのが気になった。たまたまであろうか、はたまた何かのフラグなのだろうか。下賀茂納涼古本まつりではそれとなく「夜は短し歩けよ乙女」か「四畳半神話大系」に触れているし、走るはずのない場所を走る叡山電車に関してもしかりである。何の意図があったのだろうかが読み取れない。あとがきのようなものがあればよいのだが。

2巻をよんでみての疑問は、青河さんのキャラクター設定に関して、最初からその想定で描かれて1巻が描かれていたのだろうか…、気になるところである。1巻ではまったくそのそぶりに気が付けなかったので、そんな設定があったのか…とフムフムとなった。

 

全体通して、街歩きサークルという名目があるためナチュラルにいろいろな名所を取り上げているのがよかった。金田一少年やコナン君のように何故行く先々で事件が起こるのか…という違和感もない。事件自体も無理がない。あと京都大学構内の描きもさすが…というか、映像としてとても解りやすかった。

2巻の終わり方だと、きっと3巻もでるのだろうと思っている。またその時に今回回収されなかった謎も回収されるのだろう。楽しみにしていようと思う。

 

そういえば作中にでてきた、祇園をどりや京都水族館は行ったことがないので、機会があれば行ってみたいもの。次の京都は当分先だろうかと思った矢先、こうして次が浮かぶのだから、やはり京都とは何かの縁があるのだろうか…なんて思ったりした。