より よく 生きる

よりよく生きるために

本・月曜日の抹茶カフェ

京都の清水寺を出てすぐに、名前も覚えていないが八つ橋の店がある。老舗だったか、元祖だったか。店頭にはソフトクリームも売っているのだが、そこのソフトクリームには焼八つ橋が突き刺さっている。抹茶ソフトクリームの苦みと 八つ橋の甘みがちょうどいい。その時は確か過去働いていた鞄屋のメンバーで女子会なるものをしたのだ。そして、実は苦手である抹茶を、流れで言い出せず 食べたのだった。しかし、ソフトクリームなどになると抹茶の味というより、香りや味が抹茶というくらいのもので、実際に食べてみれば問題がなかった。食わず嫌いも改めていかねばならない。だからといって、急に抹茶が好きになった!ということはなく、今も遠い親戚くらいの距離感は変わっていない。つい先日、ミスタードーナツで抹茶ドーナツが売られていたので頂いたが、それも問題なく美味であった。何故、抹茶ドーナツをわざわざ購入したのかというと、これである。

 

今回はこちらの物語についてネタバレ交えて綴っていこうと思う。

月曜日の抹茶カフェ

著:青山美智子

 

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。

その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、一度だけ「抹茶カフェ」を開くことに。

ツイてない携帯ショップの店員と愛想のない茶屋問屋の若旦那、妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名前と同じ京菓子を買いに来たサラリーマン…。

この縁はきっと宝物になる。

人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12か月の心癒されるストーリー。

 

青山さんの作品は、もう何作目になるだろうか。もはや安定といっていいだろう。青山さんの紡がれる世界観はいつ触れても、真綿にくるまれたようにやわらかで暖かいものである。

 

今回の「月曜日の抹茶カフェ」は以前読んだ「木曜日にはココアを」の続編となる。

yu1set.hatenablog.com

前作「木曜日にはココアを」で舞台になった、「マーブル・カフェ」から物語が始まる。定休日にイベント的にひらかれたマッチャ・カフェから東京→京都→東京と物語が紡がれる。当然、「木曜日にはココアを」のメンバーである、ワタル君やココアさん、ピーちゃんなんかも登場するし、あの話にはあのキャラがこの話には…と言い出したらキリがない。こうした人の人のご縁がつながっていって、ぐるっとリースのように円になるというのは面白いものがある。

 

「抜け巻探し」では京都の下鴨納涼古本まつりが舞台となる。先日読んだ「京都なぞとき四季報」でも舞台となっていたので、こういったご縁もなんだか嬉しい。きっと納涼古本まつりが私を読んでいるに違いないと、馬鹿な事を思ったりした。

 

どのキャラクターもとても良いのだが、茶屋問屋の若旦那に関しては特にお気に入りだ。遊佐浩二さんの声が勝手にアテレコされる不思議…遊佐さん恐るべしである。

境遇としては老舗店の長男であり、このままいけば自分が継ぐのであろうと程よくだらだらと生きてきたところに東京に出店する店舗の店長を任命される。それまでそこまで熱量をもって仕事をしたこともない。そんな彼が自分の仕事を見出していく姿が美しかった。

 

あと作中に夏越の祓というものがでてくる。水無月という名の和菓子らしい。

「夏越の祓と言いましてな、昔のお公家さんは六月の終わりに氷を口に含んで暑気払いしたはったんですわ。これから来る夏のしんどさに立ち向かおうと、気合を入れたんやろな。そやけど、当時は氷なんてえらい高級品やったから、とても庶民には食べられしまへんやろ。せやから、白いういろうを三角に切って、氷に見立てたんどす」

和菓子に別段詳しいわけではないが、こうした季節に意味をもった和菓子というのはぜひこれからの生活に取り入れていきたいものである。今もこうして残ってきた伝統なのだ、折角ならば仲良くしたいではないか。

 

こんなにうまくいくわけがないと思うところももちろんあるが、その中でも失敗したり分岐点にいたりと人生が描かれる。そんな青山さんの物語はある意味、私にとってのよすがなのかもしれない。

 

抹茶の美味しさはまだわからないけれど、抹茶味の何かとはこれからも仲良くできそうである。