より よく 生きる

よりよく生きるために

本・死にたいけどトッポッキは食べたい

大袈裟な話ではなく、希死念慮というものは私にとって、2軒隣に住んでいる住人くらいの距離感で常に存在している。隣人ほど密接な距離感ではない。例えば隣人であれば目覚まし時計の音、クローゼットを閉める音、洗い物で皿や金属がこすれる音、ベランダに出て話す声、それらが1日の中で数回、ささやかながら聞こえてくる。しかし、2軒離れるとさすがに日常の生活音まで聞こえてくるということはほとんどない(あくまで私の住環境では)。しかし全く何もないのかというとそんなこともない。数週間に数回、少なくとも月に1回は、ふとしたことで2軒離れたその家を意識するのだ。廊下ですれ違ったり、ポストに入れられたままの新聞であったり。それくらいの距離感で昔から付き合っている。

ただ私の場合、希死念慮があるからといって、行動にうつすわけではない。ふとした瞬間に頭をよぎるだけで、実行にうつすことはない。それに実際に死のふちに立たされたのであれば、きっと恐怖するだろう。それでも、あぁ死んでしまいたいと思いながら仕事にむかい、帰宅して家事をして、休日になると何かしらを楽しんだりしながらも、現実と理想の落差を感じつて、またあぁ死んでしまいたいと思うのを繰り返すのだ。

大人は皆、そういうものなのだと思っていた。しかしながら、そうではないらしいと最近知った。心身ともに健康な人間は、まず「死にたい」と頭をよぎらないらしい。興味深い事実だった。あぁ死んでしまいたいと思いながら、チョコレートにかじりつく日が今までどれくらいあったか知れない。

 

久々に本を読んだのでそれについて綴っていきたいと思う。

死にたいけどトッポッキは食べたい

著:ペク・セヒ

 

韓国の方が書かれた本、というのはたぶん初めて読むのではないだろうか。今まで読んだことのない作品に触れようと思い、この本を選んだ。

 

なんとなく気持ちが沈み、自己嫌悪に陥る。ぼんやりと、もう死んでしまいたいと思いつつ、一方でお腹がすいてトッポッキが食べたいなと思う…。

気分障害と不安障害を抱える女性が、精神科医とのカウンセリングを通して、自分自身を見つめ直した12週間のエッセイ。

韓国で若い世代を中心に40万部を越えるベストセラー。

人間関係や自分自身に対する不安や不満を抱え、繊細な自分自身に苦しんだ経験のあるすべての人に寄り添う1冊です。

(Amazonより引用)

 

躁鬱と診断されるほど深刻ではなくとも、軽いうつ状態がずっと続く気分変調症。そして不安障害。それらを抱えた著者が精神科医と対話していくのを文字起こししたような本といえばいいだろうか。また、著者は自身が完璧でなければと思う節があったり、0か100かで考える癖のようなものがある。もともとの気質か、成長過程か。そういった背景も綴られる。だからといって重い話ではなく、淡々とこんなことがあって、どうだったということが綴られるのだ。

 

個人的に一番興味深かったのは、9章「度が過ぎた容姿コンプレックスと演技性人格障害」のお話。

自己肯定感が低いが故に、周りからどう見られているのかが気になる著者は外見に対する強迫観念が強いと主治医に相談する。自分の容姿に対するコンプレックスや、他者からの評価に関して思うところがあるらしい。

世の中には、人の容姿を勝手に評価する、なんとも有難迷惑な存在が、本当に実在するのだ。そしてそれをわざわざ報告してくるような人間も、悲しいかな存在する。「知人が『お前の彼女、全然美人じゃなくて不細工やん』と言っていた」と報告してきた恋人が昔いた。この件に関する疑問は、いつ私が「私、美人です」と自己紹介したのかという点である。いった記憶もないというのに、勝手に評価して、勝手に批判して、良いご身分ではないか。私は芸能人か?そして、それを聞かされて、良い気持ちになるはずがないというのに、わざわざ報告してくる人間の思考回路が甚だ疑問である。過去の嫌な思い出はこのあたりでおいておこう。

これは逆もしかりである。「うちの会社で一番かわいい××さんです~」なんて他人に紹介されてしまっては、相手も気まずいし、こっちも気まずい。向こうは向こうで思ってもいないお世辞を言わなければならないだろうし、こっちはこっちで不愉快極まりないのだ。往々にして、「そんなことないですよ、△△さんが一番美人でうちの会社でマドンナなんですよ」なんていう返しを期待してなのだろう。そのあたり含めて面倒である。

相手に可愛いと告げる、カッコいいと告げるのは良いが、それを第三者を巻き込むという方法は美しくない。反面教師として、しないように心がけようと改めて思った。

 

この著書は前半がこうした問題の対談、後半が著者本人のブログ記事のようなものだった。年代は少々離れているが、あぁわかると思うようなことも多いし、実際対談に関しては自分でも無意識にしていたことを再確認することができたように思う。

ものすごく面白く、誰かにオススメ!という本ではなく、枕元に適当に置いて気が向いたら読む、それくらいの距離感で楽しめる本だった(褒めてる)。私は韓国に関しては、全くと言っていいほど知識がない。K-popも全然であるし(そもそもJ-popもあまり解らない)、文化や、価値観というものも解らない。日本のそれらともきっと違いがあるのだろう。それでも、一個人が書いた 心のおはなし が国が違えど さしたる差分なく、あぁわかるわかると思えることが興味深かった。

 

韓国の作品もこれから少しずつ触れていけたらと思う。