より よく 生きる

よりよく生きるために

映画・ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

自由研究が苦手だった。何をしたらいいかわからないのだ。

例えば「蛍について調べましょう」と言われると、それなりにこなすことはできる。しかし、何か好きな題材を自分で選んで調べてみましょうと言われると途端、何もできなくなる。好きなものが解らない というのもあるし、情報が膨大すぎてどれを選んでいいのか解らない というのもある。そういった点は三十代になった今も変っていない。

これは絵を描くのにも言えて、学生の頃、好きなものを描きましょうといった課題が苦手だった。しかし、これをみて描きましょうと言われるとある程度こなせるのだ。自由であればあるだけ、不自由になるのが不思議でならない。

そういえば今年の目標にある自由研究も、いまだテーマを決めかねている。できれば盆休み中に行いたいと思っているのだが…あぁテーマが…。

ただ私は物事を深く考えるのも苦手である。だから浅い知識しか手に入らない。深い考えや、深い知識というのにはこれからもあこがれ続けるのだろうと思う。

 

みた映画について、ネタバレ交えて綴っていこうと思う。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

 

数年前に一度観ていたのだが、そろそろもう一度観たいと思っていた映画である。

 

9.11テロで最愛の父を亡くしたオスカー。

彼はアスペルガー障がい の気質を持っている少年だった。検査の結果は未確定。彼は障がい者でもなければ、健常者 といわれる存在とも違う。そんなオスカーには'できないこと'が多く存在する。例えば、知らない人との会話 であったり、ブランコであったり。父のトーマスは彼のそういった性質を理解したうえで、少しずつ改善できるように一緒に「調査探検」として様々なミッションをこなし、ニューヨークの幻の第六地区を探すのであった。

しかし、2001年9月11日。トーマスはアメリカ同時多発テロ事件に巻き込まれてしまう。遺体すら見つからず、空っぽの棺桶を前に儀式的な葬儀をこなす姿にオスカーは理解できないでいた。

それから1年後のある日。やっとトーマスの部屋に入ることができたオスカー。トーマスの部屋は1年前のあの日から何も変わっていなかった。オスカーがクローゼットを捜索していると青い瓶が落下し、割れてしまう。その中にはオレンジ色の封筒が入っていた。そしてその封筒の中には何かの鍵が入っており、また封筒にはBlackという文字が書かれていた。Blackは人名であると推理したオスカーはその鍵の謎を探るべく、ニューヨーク内に存在する472人のBlackさんを訪ねる旅を始めるのであった。

 

 

11歳の少年オスカーが、できないことを克服していきながら少しずつ前進していく姿がまぶしくもあり、彼のもつ辛い記憶や境遇が何度見ても胸が締め付けられるように辛い。

今回特に記憶に残ったのは、母親と言い争うシーンと、ラストの話し合うシーン。母親の「本心よ」という台詞が、痛々しく、辛くて泣いてしまった。ラストの話し合いをするシーンでも、彼女は母として、そしていなくなってしまったトーマス(父)として賢明にオスカーの為に動いていたのだなと胸が熱くなった。

もう一つ、オスカーの らしさ が興味深かった。彼の特定の物事への執着(ポジティブなものもネガティブなものも)や、これを相手には言ってはいけない ということを口走ってしまう点など、わかりやすく らしさ をあらわしていた。あまり症例に対して明るいわけではないので詳しく述べるのは避けるが、細かいところにそういった らしさ が散りばめられていたのがよかった。

 

9.11が起こった2001年。私はまだ小学生だった。遠いアメリカの地で、そういった事件が起きたのだとぼんやりとTVで知った。それまで当然、アメリカや海外の存在は認識していた。しかし海外の今起こっている事件 というものを認識したことはなかったので、たぶん 9.11が初めてになるだろう。そして、私の人生で初めて戦争をリアルタイムに感じたのも、9.11からが初めてだったと思う。当時の私は、第二次世界大戦が終了した際に全ての争いや終了し、今は平和な世の中なのだと信じて疑わなかった。国家間での内乱や、他国同士での争いや、ISの存在というものすら知らず、本当に無知だったのだ。

 

長谷川義史さんの「ぼくがラーメンをたべてるとき」という絵本があるが、そんな当時の自分と重なってなんともいえない気持ちになった。この絵本はぜひ手に取ってみてほしい。

 

9.11が作中出てくると言えば、原田マハさんの「暗幕のゲルニカ」もそうだった。

「暗幕のゲルニカ」では主人公の女性の恋人が9.11で他界していたように記憶している。反戦をテーマとし、現代の女性主人公と、パブロフ・ピカソの恋人であったドラ・マールという2人の女性の視点から描かれる物語であった。

 

「暗幕…」も「ものすごく…」のどちらの作品も理不尽に、しかも唐突に最愛の人を失った悲しみが描かれていて、触れていると、本当につらくなる。

昨今、また情勢的に何もないとは言えない世の中であるが、少しでも、一人でも多く、平和に安泰に過ごせる日が来ることを、私は祈ることしかできない。行動できるほど、強くはないから。そしてどうか、私の大切な人々が、こういったものに巻き込まれてしまわない様に…エゴでも願うことしかできない。

 

今こそ、ゲルニカを。(過去模写した絵と、上記紹介の「暗幕のゲルニカ」)