より よく 生きる

よりよく生きるために

映画・little forest

気になったらやってみないと、気が済まない性格である。何事も。それに追加して貧乏性というか、節約魔なところもある。皿が割れてしまったら、なんとかしてなおしたいし、お気に入りの服が着られなくなっても、なんとかできないだろうかと考える。そんな日常をおくっているからか、少し変わったスキルのようなものを手にした。金継ぎや染め物といったことは、世間一般ではあまりしないらしい。趣味といえるほどではないし、別段難しいことではないので、ほめて頂けるといささか困惑する。会話のネタとしては申し分ないのだが。

そんな私だが、憧れているけれど苦手でできていないことがある。それは農作物を作る、ということ。

 

今回リトル・フォレストという作品を観たので、ネタバレ交えて綴っていこうと思う。

 

東北地方にある小さな集落・小森。近所にはスーパーやコンビニなんてものはない。主人公のいち子は、田畑を耕しながら自給自足に近い生活を送っている。一度は都会にでたこともあるが、自分の居場所を見つけることができず逃げるように戻ってきた。一年を通して、季節のものを植え、育て、採り、食べる、それを繰り返す。大自然に囲まれ、その恩恵と厳しさの両面を通して自分を見つめ直す物語。

 

夏・秋・冬・春、1つの季節で1時間ほどだろうか。全てで4時間程の作品だが、観ていて苦にはならなかった。淡々と、ドラマチックではなく、本当の日常のように静かに過ぎていく。橋本愛さんの いち子がちょうどいい。夏・秋に関しては、自然の美しさや、食べ物の美味しそうさ(いわゆるシズル感)を楽しむ作品。そして冬・春で物語性がぐっと増し、なぜ一人でこんな山奥で暮らしているのか、これからどうするのか…といったリアルな問題と対峙する。

 

作品のなかで物語のキーになるのは、たくさんの食材であるのだが、どれも美味そうで困る。いちいち腹が減る。とれたてのトマトにかじりつきたいし、瓶詰も作ってみたいとおもったし、くるみご飯は初めてみたが、あれもしてみたい。暖炉でパンを焼くというのもあこがれる。餡をお焼きにするのは、私も以前したが、また食べたいと思ってしまう。あぁどうして今の季節には栗が売っていないのか、赤玉ポートワインに漬けにしたら美味そうではないか。毎話そんな感じで困った。

ただリアルな話、それらの食材を手に入れるのは、いろいろ苦労があって、トマトであれば露地栽培は難しいし、鴨を絞めるのはみていて辛い。「わかるけどね」のシーンに込められた言葉が染みる。そう、わかるけどね、でもね、なのだ。

今、私は徒歩10分圏内にスーパーがあり、もう5分歩けばイオンスーパーもある。何不自由ない生活をしているといってもいいだろう。食材は綺麗に陳列され、キュウリなどの野菜はどれもほとんど個体による差分はない。魚はさばかれ、最近では骨まで抜かれて切り身として売られている。そうして私は「生物」を意識する機会が減っているように思う。私が当たり前のように摂取しているそれらが、もともと「生物」であって、「命」であったことをどうしても忘れてしまっているような気持ちになった。きちんと食材と見つめ合っていかねば…。「いただきます」と「ごちそうさま」は欠かさず言っているが、作る段階から命を頂いているのだと意識しなければ、それこそ失礼に当たるだろうとおもった。

 

いち子は一度、都会に出るが居場所を見つけれず、逃げるように小森に戻ってきている。それが いち子にとって、小森で暮らす人々に失礼に当たるのではないかと感じている。なんとなくだが、わかる気がした。私も居場所というものは、まだ見つけられていない。実家を出て2年。まだ自分の居場所であると胸を張って言えるまでにはなっていない。だからと、実家に帰るのも違う気がする。そうやって模索しているのだ。私の居場所を作ることはできるのだろうか。

 

ちなみにだが、これをみて私も自給自足生活がしたい!田舎暮らしがしたい!農作物を育てたい!となるかと言われるとそうでもない。雑草に触れるのは苦手であるし、何より虫がダメなのだ。怠惰な生活を送っている人間であるので、そういった生活は向かないだろう。でもほんの少し、憧れのようなものはある。自然の一部として生きていくことができれば、この頭のなかにあるモヤモヤは薄れるのかもしれない。自然の恩恵をうけ、そして自然に帰ることができれば、少しは私の存在も許されるのではないだろうか。

 

この映画はずっと以前から気になってAmazon videoのウォッチリストに入れるだけ入れて忘れていた。オススメだよとお声をかけて頂き、今回観ることにしたのだが大変満足している。感謝しかない。韓国版もあるそうなので、これも観てみようと思う。

しかしながら梅雨とは困ったもので。まぁそのあとも8月の暮れくらいまで続くのだが、倦怠感と頭痛が背中に纏わりついたままはなれそうにない。無理ない程度に行動して以降とは思っている。