より よく 生きる

よりよく生きるために

映画・シザーハンズ

大学の専攻学科は心理学だった。その中で自分がどういう人間で、どういう病状なのかを把握し(もちろん病院でのカウンセリングも受けたが)、自らで理解することで完治の方向へと進めた。フロイト的な考えと言われれば、そうなのかもしれない。

 

大学の授業では映画を観ることが多かった。心理学的に参考になる映画を観たのだが、ほとんどは興味がなくて(というか寝てて)忘れてしまった。シーンだけなら覚えているものもあるのだが、タイトルすら思い出せないので困ったものである。いくつかシーンを覚えているだけの映画で観てみたいものもあるのだが、探すのに骨が折れそうである。

きちんと覚えているのは「千と千尋の神隠し」と「カッコウの巣の上で」と、そして「シザーハンズ」だった。この他、シーンを覚えていたことでタイトルが解ったのが「フランケンシュタイン(1931)」と「ギルバート・グレイプ」と。あとは朧気で覚えていない。ちなみに心理学とは関係のない授業でも映画を観るものがあって、そちらでは「猿の惑星」や「木を植えた男」をみた記憶がある。「つみきのいえ」はどちらでみたのだったか…。内容的に壮年期の心理学の授業あたりか。

真面目に受けていれば、いろいろと違ったのだろうか。いや、今更悔いるのはやめよう。

 

久々に「シザーハンズ」を観たので、ネタバレ交えて綴っていこうと思う。

丘の上に建つ屋敷に住む発明家につくられた人造人間のエドワード。彼がまだ未完成のまま、発明家はこの世を去ってしまう。それはエドワードに人間の手をつけようとしていたその日だった。エドワードは手がハサミのまま、その屋敷で一人暮らしていたのだった。

そんなある日、ペグが化粧品を売りつけにやってきたのだった。エドワードをみて、可哀そうに思い自宅のある町に連れ帰る。その町の住人は癖のある、ある意味リアルな面々だった。

エドワードの庭木剪定や散髪の才能から一度は町中の人々に受け入れられるが、事件が起こり…。

 

シザーハンズを観て、一番に思い出したのが、また別の授業でみた「フランケンシュタイン」だった。人間のエゴで作られた彼。違うところは、エドワードは思いやりを持って作られた…という点だろうか。一般常識のようなものをエドワードは発明家の男性から教わっていた。教養のようなものだろうか。そして発明家の彼は熱心にエドワードに語り掛けたのだ。

 

町の面々がティム・バートン作品ならではのシニカルさというか、「みているなぁ」というか。その皮肉のきいたキャラクター設定が興味深い。一見まともなことばかり言っているように見えるキムの父だが、確実にタイミングがおかしいし、人の話を聞いていない。そういった小さなおかしさが面白い。

そういえば「チャーリーとチョコレート工場」も然りだが、ティム・バートンの作品では黒人男性が一人出てくる。ある意味「お助けキャラ」といえばいいポジションだろうか。作品の中で唯一といってもいいほどの’まともな人’だ。白人である、所謂差別する側の人間がおかしなことを言い、差別されている側の彼らがまともな正しいことを言っている。自分たちの異常さに、差別する側は気が付いていないのだ。そういった観方もできると、授業で教わったのが強く印象に残っている。「視点を疑え」というのは、今も心掛けている。彼らの集団心理というか、ある意味団結力のようなものもある意味恐ろしい。あぁはならないようにと思うが、それが案外難しいものだ。

 

このエドワードを演じるジョニー・デップだが、御年59歳らしい。なんということか。少し前にニュースで彼の姿を拝見したが、全くそうは見えない。老けないコツは何だろうか…。

この作品自体1990年にアメリカで公開されているらしい。私が1990年生まれであるので、同い年になるのか。感慨深い。当然ながら映像には時代を感じる。32年程前の作品なのだ当然といえば当然か。ただその古めかしさのようなものが、作品によく合っているように感じた。少々やぼったい感じが、それはそれでいい。それであるのに、衣装が今観ても可愛い。流行はめぐるというが、確かに最近も似たような服を着ている女の子を見かける。愛らしいと思う。

撮影はフロリダで行われたそうだが、建物のパステルカラーも可愛い。まるでセットのようだが、どこまでがそうなのだろうか。

 

シザーハンズはハサミの手をもった人造人間であるエドワードと、人間の少女キムの切ない恋物語であるのだが、個人的には町の面々の異常さや、それに対するティムの皮肉を観るのが楽しい映画である。

大学生の頃だったかに描いたエドワードを、その後加筆修正したもの。少なくとも7年程前だろうか。もっとかもしれない。当時の私は、こうしてみた作品で印象にのこったものを絵にして残していたらしい。今はもうそんな気力はないが…それくらい、インパクトのある作品だったのだろう。

 

次はいつみるだろうか。その時、私はどう思うだろうか。楽しみである。